完璧に整った朝──サヌールのサンライズ 文字数:1629
完璧に整った朝──サヌールのサンライズ朝の海に行こうと思ったのは、ただの気まぐれだった。まだ暗く、空には輪郭のない雲がいくつか浮かんでいた。コーヒーを飲み終えるころ、水平線のあたりがうっすらと染まり始めた。そのとき私はまだ知らなかった。この朝が、記憶に残る“整いすぎた夜明け”になることを。やがて、太陽はまるで合図に従うように、左右対称にひらいた雲の割れ目から顔を出した。雲は翼のようにひろがり、光は扇状に天を刺す。海はそのすべてを静かに受け止め、波音だけが規則正しく岸辺を打っていた。完璧だった。自然が設計図でも引いたかのように、すべての要素が「いまここにあるべき姿」で存在していた。朝焼けはつねに美しい。けれどここまで“整っている”と、それは美しさではなく、祝福のように感じられる。こんな朝に立ち会えたことが、...完璧に整った朝──サヌールのサンライズ文字数:1629
2025/06/01 23:07